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real japan travels #02 day2「祖谷峡」+ アレックス・カー インタビュー
今回の旅の目的のひとつに、アレックス・カーに会うという目的があった。その人を学ぶには、その人と一緒に仕事をすることが、もっとも手っ取り早いというのが昔から常々思っていることなので、前回撮影した写真をベースにいろいろと作って持っていってみた。やっぱり現物を見てもらうのが、どんなプレゼンテーションをするより話が早い。

そんなアレックスに皆でいろいろと聞いてみた。



Alex
日本の古い建物は目的なしの再生を行ってしまっている。飲食禁止や時間制限が設けられていて使えなくなってしまういわば死んだ博物館だよ。今の人々が泊まりたいような宿泊施設ではなくて、目的があって作られても最後には結局誰も使えないものとなってしまう。勉強不足でやってしまって後戻りがきかないか、あるいは蓋を開けたら使えない。

Q
「日本的」と呼ばれるものは不便なものが多いのが実状だと思うのですが?

Alex
住みにくいと思うのは改築する技術がしっかりとしていないから。技術なしのゼネコン。古い家を現代に持ってくるということを京都の町屋で試みているんです。たとえばボストンは京都より木造建築が多い。それはなぜかというと技術を用いているから。不便、というのは言い訳にすぎない。要は勉強不足。新築にするのが文明だという先入観があるんですね。現状のままでの日本古民家なんて住めたものではないんですよ。たとえば改修していない京町家のお風呂はまるでホラー映画の世界。現代の人々が「昔ながら」を受け付けないのは当然であって、それにはおじいちゃんやおばあちゃんが時代に対応する知恵を持っていなかっただけで、今の技術でならやり直せるはずですよ。



Q
私は学生時代に京都の町屋で生活をしてみたり着物で大学に通ってみたりもしたがどこか違和感があった。まるでコスプレのように。

Alex
そうですね、やはり限界がある。現代的なのはもちろん欲しい。しかし、かといって昔のものを壊してしまったら二度と同じものはできない。ヨーロッパでは歴史的なものがちゃんと保存されている、だからといってかつての貴族のように大きなカツラを頭にのっけて生活しているわけではないよ。わたしは三年ほどオックスフォードの寮で暮らしていましたが、石壁が1メートルくらいあって、ものすごく分厚いんだけど、壁に水道管を通すのは大変だったりするわけで、一方で日本の家屋はそれに比べて時代に適応できるものがたくさんある。日本の木造家屋にしても。まぁこのお話はCHIORIでは実感し難いでしょうが、京都のIORIでの方がわかりやすいと思います、IORIは100年以上経っている町屋を改築して、とてもエレガント。

小値賀(長崎県)では二年後に、8軒の古民家の改装を予定している。根本構造を変えないのを約束として設計士と相談しているんだけど、いかに現代的にできるかがポイントになる。日本の古民家は暗さとの闘いですが、天窓を入れたりすると明るくなる。それでいて味は消えない。



Q
やはり改築には莫大な予算がかかるのではないでしょうか?

Alex
そうですね。まず無駄が多すぎるんです。昔の手仕事といっても全部をそれでやるわけではない。たとえば断熱材もいれる。なぜなら資料館を作るわけではなく「家」を作るのですから。最近は京都で町屋専門のゼネコンができていて知恵ができはじめた。今の日本に足りないのは古いものへの理解と新しさ。

Q
何が「新しい」のかわからないというのがあると思うのですが。

Alex
それは不勉強な証拠です。僕はアジアのリゾートホテルをまわったりして枕の置き方ひとつとってもたくさん勉強をしてきました。そこにはちゃんと哲学があり美学がある。彼らは本当のニーズをわかっている。たとえばアマンリゾートなんかはいい見本になります。インドネシア人のオーナーさんが言うには、サービスは特別に素晴らしいわけではないけれど余分なサービスを省いたのがよかった、と。本当にお客さんが必要としているもの例えばインターネットなどを完備していることなども大切な要素です。しかしIORIのインターネットはワイヤレスで、CHIORIはケーブルのまま。お金なくて大変なんですよ(笑)。とまぁアマンには特別な美学があり、妥協をしない。そうするとお客さんが安心する。あるいは小さな家にバックパッカーが泊まれるようにしたり、安いからといって、ちゃっちくしないで要は簡略化したつくりにしたり。小値賀は素晴らしいですよ。島にはいろいろなものがある。浜や港、無人島、昔の天主堂もある。一軒につきレンタカーがひとつつく。すると泊まりながらあちこちにまわれるんです。マイホームからマイアイランドへ。



Q
例えば軽井沢にある「星のや」のようなものでしょうか?

Alex
いや小値賀はもっと素朴ですよ。結婚式場やらなにやら置いたら、、、ねぇ。小値賀ならではの世界。

Q
そういう施設と地元の人はいかに関係を結んでいくのでしょうか?日常生活に根付かせるためには?

Alex
外部の人がやって来ないかぎり、地元の人だけで(良い部分を残したまま建物を改修したりすること)はなかなか難しいでしょうね。でも外部から人が来ることによって職業が生まれ過疎化に歯止めをかけることができ、地元は(経済的に)潤うんです。地元の人にその良さを伝えても無理がある。残念だけれどそういうことは現実的に、リアルに考えなければだめです。「田舎のリサイクル」というのがあるでしょう。日本はお金をかけて守ろうとしすぎていて、でもそれには限界がある。その意味でリサイクル。外部の人の力によって変える、そして地元は恩恵を被ることができる。

http://www.flickr.com/photos/25410558@N05/tags/祖谷/

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小値賀町 - wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/小値賀町

アマンリゾート - flicker
http://www.flickr.com/search/?w=all&q=Amanresorts&m=text

alex-kerr.com|美しき日本の残像
http://www.alex-kerr.com/jp/
| real japan travels | 15:52 | comments(1) | - |
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| - | 15:52 | - | - |
いいですねー。例えば京都全体で一定のこれが「町家だ」という指標をつけるのは難しいだけに、今の多様な町家観や改修につながっているのかなと思いました。改修されすぎた「町家ステイ」を最初にしてしまった人と「いおりステイ」をした人では、「町家らしさ」の価値基準が違ってしまう可能性が高かったり。外部からの視点なので、もともと京都の町家に住んでいた住民がどのように考えているかは調べてみないと判らないですけど。
| kinyuka | 2008/10/26 12:51 PM |