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地球大学クリエイティブ 第4回 赤池学「なぜいまキッズデザインなのか?子ども目線で考える」
地球大学クリエイティブ 第4回 なぜいまキッズデザインなのか?子ども目線で考える
speaker:竹村真一氏×赤池学氏(ユニバーサルデザイン研究所 所長)
date & place:2008.12.10
新丸ビル エコッツェリアにて



なんていうか、プレゼンテーションしながら、泣きそうになって言葉をつまらせている人は初めて見た。というくらい情の厚い人なのだということが、文章からは伝わらないと思いますので書き添えさせていただきます。

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地球大学クリエイティブ&デザインの窓 過去ログ
水戸岡鋭治編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=487
廣村正彰編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=451
吉岡幸雄編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=266
鈴木エドワード編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=214
隈研吾編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=191
内田繁編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=167
面出薫編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=153
佐藤卓編 http://tamachan.jugem.jp/?eid=133
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竹村
赤池さんは丸の内の仕掛け人でもありまして、三年前に大手町カフェを企画された方です。四年くらい前から丸の内のサステナビリティの仕掛けをやられてきた方です。真っ当に怒るべきことに怒る。しかしそれにきちんと愛に満ちた代案を提示する。凶器となってしまう車の問題だとか、家についても一生ものの買い物なのに、シックハウス症候群とか「世界一住みたい家」という本を書かれていますが、どうして住みたいと思える家が日本に無いのか、とか。本当の意味でのソーシャルデザイナーであると思いますね。そういう思いから、一昨年前から子供のデザイン、キッズデザインをされています。子供が世界をどう経験しているのか。そこを大人がきちんと経験してないから事故が起こるんだ。私もお誘いいただいてキッズデザインの本を書いています。年間100万人の子どもが不慮の事故で亡くなっている。その千倍が事故。ジャングルジム、遊び場で起きたり、子どもが飲み込んでしまう誤飲。大人の想像力では見えない子どもの目線で、どう経験しているかということですね。今日は、なぜ子供の眼差しはなぜ重要なのかを対話しながら浮き彫りにしていきたいと思います。

赤池
ユニバーサルデザインというものをやっています。高齢者も障害者も健常者もみんな暮らしやすい町をつくりましょう。「共用品開発」と一般的には呼ばれています。なぜエコのテーマと関係するか?そもそもなぜ「共用品開発」と訳したのかといえば、今いない未来の人たちにも使いやすいものにしなければという思いからでした。次代の社会が使いやすいものを作る。うちの会社が関わった有名な商品に、斜めドラムの洗濯機というのがあるのですが、斜めにすることでいろんな世代の方達が使いやすくなる。パナソニックの技術者達と、洗濯時の水がナナメになることで水を少なくつかえるという、そういう感性でデザインしていかなければならないと思う。

HARDWARE(技術基盤)
機能を生み出す
  ↓
SOFTWARE(アプリケーション)
使い勝手を生み出す
  ↓
SENSEWARE(五感と愛着)
愛情・愛着・愛嬌を生み出す
  ↓
SOCIALWARE(公益)
新しい価値やビジネスモデルを生み出す
  ↓
HARDWARE(技術基盤)・・・と循環する

ハードウェア。ソフトウェア。いままで多くのモノはこの二つの循環で作られてきたんですね。物作りですから、機能と品質のプランニングで作るのは絶対条件なのですが、これだけじゃないよねーと思っていたのですが、丁度その頃竹村さんがセンスウェアの開発が重要だ、と言われたのです。五感と愛着に基づく品質。それに、それだけじゃなくてもっと大切な品質開発があるなと、それがソーシャルウェア、公益としての品質がますます重要になってるんじゃないかと思っているんです。たとえばいままではプロダクトのユーザーだけを見ていたんですね。だけど、次代の子供達とか幅広い感性で見なければならない。このプロダクトに関わるさまざまなステークホルダーが関わるようにしなければならない。地球のためだったり地域のためだったり。これは意外に難しいことじゃあないですね。僕は大田区の大森に生まれて育っていますけども、この商品を作るときに町工場の技術を使って作っているんですね。そうすることでこの商品は町工場の技術を使っていますと言えちゃうんですね。

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WILLシリーズ。生きることに基本は食べることだよと。けっしてビジネスターゲットとしては狭いかもしれないけれど、ソーシャルウェア型の開発としてミッション度の高いものをつくろうと。住友の機能性の樹脂を繋いであげて、形状記憶プラスチックになってるんですね。それを利用して障害を持っている子供達でも食べられる。こういうことを開発すると大手の住友さんでもとても喜ぶんですよ。逆にこういう使い方をやってみせる。まさに今のCSR的なコミュニケーションができちゃう。これが話題になってメディアに載ったら、サンスターさんから電話がかかってきた。うちハブラシ作ってるんで、御社のパテントを使って開発したいとか、普通だったら考えられない新潟の燕の町工場さんと繋がっていくんです。

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Light ユニバーサルカトラリー


今度は本格的に子供だけでなくて、大人が使うにはきちんとホールドできるものがいいんです。中を空洞にしてあって、これは最中(もなか)という伝統的な金属加工の技術を使っています。江戸時代にキセルを作っていた技術なんですね。握りやすく強いんだけど、軽くてぬくもりも生まれる。それをずうっと作っている燕のおじいちゃん。これ全国の介護施設でヒット商品になりました。

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GRANDMADE


三國清三さんて有名なシェフが考えたんですね。こういう洋食のシェフ達は海外の食べ物を日本に繋いでくれたんですけれど、ひとつだけ忘れちゃったのがスプーンに載る食べ物の量を、大きすぎて子供は飲めない、おばあちゃんも飲めないんですね。これがお年寄りの大きな死亡原因になっているんですね。そういうことがあって、信じられないような値段でプロデュースやってくれました。そうやってみんなが使ってくれて、愛の連鎖が生まれていくんです。

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サンウェーブ、Actyes


キッチンというのは非常に明快な商品なんですね。水回りと熱源と収納なんです。これがいままでは一つのものとして売られていたんですね。これをカスタマイズできるようにしました。けっこう流行ってきちゃったんで、ひとつのユニットを間伐材でやれないかってことをやってみたんですね。旧来型のメタリックで冷たいキッチンがどーんと木材の家におかれちゃうと冷たくなっちゃうんですね。それが地域の工務店さんが、Actyesを勝手に売ってくれるようになったんですね。

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NEX.cleaner


これはまだ売られていないんですが、腰に装着する掃除機です。小林幸子の電飾をプロデュースしている森脇裕之さんてアーティストを入れちゃったんで、どうしようかなって感じなんですけれど(笑)お掃除の動きで光ってコミュニケーションが生まれるという企画です。子供をターゲットにしたんです。いまだにあれだけ肉体労働をしいている家電てのは掃除機だけなんですね。この掃除機を装着して親父が楽しそうに掃除してれば、まねしたくなるよねと思って。
最近グッドデザイン賞の金賞候補に挙がってきている製品が、韓国製品が多くなってきているんですね。もともとの技術は日本からもってってると思うんですけれど、サムソンさんなんかは世界中からデザイナーを青田刈りしてますんで、そんなところで日本が戦っても勝てませんので、五番目の品質を作ってそこを勝負所にしていかなければならない。新しいものの価値、これが日本の産業力になっていくと思います。

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静岡発!ランデヴープロジェクト


ひびのこづえさんと静岡の水鳥工業がコラボレーションしたサンダルをつくりました。それから雛人形の左京とのコラボレーションです。本物の漆や彫金なんかを使っているのですが、高額なおひな様ってのが業界に伝わっていったんですね。交換性価値で高価格な物作りは絶対に成立するなと思っています。いまだに静岡の駅にいくとあべかわもち売ってますけど、あんなのおみやげとして買ってもってきてもらっても誰も食わなくって困っちゃうんですね。それよりは幸せの交換価値があるものを作ってくれたほうが少々高くても売れちゃうんですね。

http://www.hanjyou.jp/rv/

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ウイークエンド漆職人


坂本漆器とベンツのコラボレーションで漆で塗装されたsmartをつくりました。それがきっかけで一般の生活者に漆の自作キットを売り出したんです。こうすると漆の茶碗がつくれますって、マニュアルつけて14,800円で売り出したんですね。そしたら現在までに15万セット売れて大ヒット商品になりました。売れないって悩んでいた漆メーカーに、材料を箱詰めしただけのアイデア商品で、本業より売れ出したんで大喜びです。やっぱりカスタマイズなんですよ。子供がつくった茶碗なんで絶対にとっておくんですね。愛の連鎖のメカニズムが働いているような気がする。

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イルカの人工尾ひれプロジェクトをブリヂストンとやりました。感染症で尾びれが壊死したイルカにゴムの尾びれをつけてみたんですね。ゴムの技術で、ハイジャンプができるようにまでなりました。ぜんぜん泳げないところから3年かかって、NHKが番組にしたり、映画にもなった。これだけでものすごい広告効果になったんです。そこでいま笑っている人は電通の関係者ですね(笑)

http://www.bridgestone.co.jp/eco/project/dolphinblue/

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ピクニックセット。みんなで昼間から飲んだくれてピクニックのネットワークって拡がっていくんですね。もともとは家族同士の運動が事の起こりで、三井不動産さんがミッドタウンのオープンの時に買ってくれたんですが、いろんなメーカーが食品ピクニック用に作らせてくださいとか、またそういうのが社会貢献のフリとかできるんで、それこそ地元のカトラリーメーカーとかみんなこういうプロダクトつくりたいって言ってくるんですね。

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Haptic Paper




原研哉さんと深澤直人さんとコラボレートした。日本の技術は凄い。植毛印刷とか。子供達を喜ばせる印刷のアプリケーションなんていっぱるあると思うんですね。

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KIDS DESIGN AWARD


キッズデザイン協議会が立ち上がり、キッズデザイン賞を始めたんですね。調査研究事業として、子どもの事故を鹿島建設が、身体特性、見守りをセコムが、住空間を積水ハウスが、次世代育成を凸版印刷が、というようにして初めて、子どもの事故の原因をサーベイした。それでわかってきたのが、子供の死亡原因の上位が、ほとんど不測の事故です。第一位が建物内での転落事故。ほとんど家絡みの死なんですね。それで交通事故ときてようやく小児がんです。こんな事すら最近までわからなかった。そういうことを調べるところが国の機関に無かったんですね。誤飲によってキャップ飲み込むんだったら最初から穴を開けておけばいいし、そういうことをしたのが金賞なんてとっちゃうと、全国でコピーがはじまる。ほんとはなんでも過保護にしちゃいけないんですね。でも全国で一位になってしまような事故に対しては徹底的にソリューションを考えていく。化粧品だとかそういうことを全然考えてこなかったような業界にこういうものをコピーして、まねてほしいですね。キッズデザイン賞は、子どもがユーザじゃないものでも、子ども目線で影響をデザインしているかを判断しています。

http://www.kidsdesignaward.jp/

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ドクターベッタ哺乳瓶


おかあさんのおっぱいに近いかたちに作るべきだと思ったんですね。これはかなり高度なガラス加工技術が必要になるんですよ。いままでのものだと寝た状態で飲まなければならないから、ミルクが気管に入るわ耳には入るわで大変だったんです。この形だと自然に子供が立った状態で飲めるんです。子供の視線になったものがいままで無かったんですね。

竹村
コロンブスの卵なんだけど、ある意味簡単なことすらできていなかった、馬鹿にしていたんですよね。

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赤池
運動場に積み上げられていた石灰があると思うんですが、乾燥剤を間違って食べちゃって口の中で300度くらいの発熱で火傷しちゃうんです。食べられませんとかって書いてあるのもほんとうに人をバカにしたデザインですね。そんなもの幼児が読めたらそんな事故起きてないっていう。こんなものを大量に流通させていたとは。それで発熱しない石灰っていうのをつくって、みんながこれにした。

ビニールプールの事故。実はビニールプールが招き寄せている事故は、転倒事故です。溺れちゃうんじゃないんですね。そういう問題がわかれば繊維性の樹脂なんてどんなメーカーだって作っているんですから、そういうものを使えばいいんです。

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ニコン ネイチャースコープ ファーブルフォト


野外に持ち出して使うんですが、デジカメも取り付けられてそれを持って帰って、お父さんと語り合う。コミュニケーションのデザイン。当然こういうものを作ると全国の自然観察系のNPOがニコンさんを買っちゃうんですね。そもそもキッズデザインから始まったことが、健常者にもどんどん売れちゃう。結果的に多用な人たちに売れるユニバーサルデザインになるんです。社会存在の最弱者である子供のことを考えながら作るんです。

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きゅうぱっく。いままでは博物館に行かないと見れなかったじゃないですか。これは一つのトランクの中に博物館が入っていて、博物館外に持っていくキットなんです。九州国立博物館。これは絶対科学のトランクをつくりたいなと。

九州国立博物館学校貸出キット「きゅうぱっく」
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/27/27243_197687_misc.pdf

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簡易基礎体温計 らん’s ナイト


従来子供を産みたくて基礎体温計をつけるんですが、体温計でいちいち測らないでも、就寝時にパジャマにつけておくだけで自動的にセンシングして、QRコードを通じて基礎体温情報が保存されていく。これはやられたなーと思いましてね、ライフステージのある限られた期間にハンデキャップになることはあるんですね。妊婦だとか。ハンデキャップには多様性があるんです。マーケットはたくさんあるんですよ。時限的にバリアーを抱えることってありますよね。それに併せて日本のICT技術を駆使して商品を開発すると売れちゃう可能性があると思うんです。

http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20070407A/

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入院患児のためのプレパレーション用絵本




この話をすると涙が出てきてしまうんですが、子供の立場に立ってですよ、親御さんから離されて、痛みを伴う検査をされて、更にもっと痛みのある手術を受けて、そこで何が起きるのかを絵本にしようと思ったんですね。その意味をしっかりと子どもに教えてあげることが大事。

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黒いまな板


京セラさんのまないたです。視覚障害になってくると見えなくなってくるんですね。じゃあ黒にしちゃったら?ということで出来た商品です。これをバリアフリーデザインではなくて、バリアバリューデザインて新しい言葉で普及させようと思ったんですね。健常者がプラスマイナスゼロの存在であったら、どれだけゼロに近づけようとしたのがバリアフリーデザインだったと思うのですが、障害者は逆にバリューがあるのではないか。皮膚感覚や触覚だって優れているかもしれませんよね。そんな目に見えない方とタオルを開発したんです。健常をプラス、バリアをマイナスとして、弱者だと決め付けていたんですね。

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ダイアログ・イン・ザ・ダーク・タオル


目に見えない方に触ってもらって開発したタオルです。今治タオルとのコラボレーション。バスタオルに至っては7,800円もする高額なタオルなんですが、生産が追いつかないくらい売れている。今年のGマークもとりましたしね、既存の高額なタオルとどれだけ風合いが違うのか、健常な僕にはわかりませんでしたが、なぜ売れてるんだろう?と思ったんですが、女性のバイヤーがストーリーを好んだり、買った方がストーリーを伝えられるから、売れてるんですね。

http://www.goldpearl.co.jp/brand/did/

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この話をしているとまたウルウルしてきちゃうんですが、知的障害者ですね。売れないパンとかつくってるわけですよ。小さな子供の時から熟練度の高い加工技術を学ばせていたら、知的障害を持っていても職人さんになれるんですね。日本の公共施設のありかたを根底からリデザインするようなミッションやコンテンツがそこから絶対にたちあがってくるはずなんですね。

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積水ハウスのマンションです。これはもうコテコテの農業ができる菜園システムが入ってるんですね。これはデベロッパー革命なんです。いままでのデベロッパーさんはつくったら作りっぱなしなんですね。お守りしないと農業は成立しないんですね。それをきちんと住民に対してしかけていくということを、そこまで覚悟して仕掛けたんです。こうやって農業にふれていけば当然子供達の食育にもなる。

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過去にないくらい笑っちゃったんですけれど、馬付き住宅です。4000万の住宅に、馬一匹ついてくるんです。これ、まじめにデベロッパーがやっているんですね。これは曲り家っていって馬と一緒に生活する文化がかつてこの地域であったんですね。馬の世話の施設、ライディング倶楽部の施設、観光地。馬を使った地域貢献にもなり観光ビジネスにもなり、住宅分譲にもなっていた。

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4LDK+LG(ラグジュアリーガーデン)。家庭。それは家+庭。家庭って家と庭でできているじゃないですか。いままで住宅メーカーさんは外構とかエクステリアとか言って、勝手に作ってもらえばっていってほっておいたんですね。昔の人たちは庭の作業をしていて、それが価値だと知っていたんだと思いますよ。土を商品化しましょうと。それでどれだけ庭のある家で暮らす子供達にメリットを与えられるか。たたきの土間のリビングつくりましょうよと。それでコンセプト住宅を考えました。90坪相当の家なんですが、その中に30坪相当の庭が仕込まれています。セキュリティの関係で、あえて中に庭がないように見える町屋の発想にしています。マンションに住んでいる人は、露天風呂ほしがっているんですね。エントランスからリビングから施工かかってないんですよこれ。ただ箱が載っているだけです。1800万円弱で売れちゃうと思う。

サステナブルなビジネスの開発に、子供目線の開発が成功するなと信じています。

-- プレゼン終わり --

竹村
生き方とか働き方を教えていただける方だと思います。赤池さんにいつも関心しちゃうのは、ご自身でこういうことを、代案を出して町作りまで形にされてるんですけれど、それだけに関わらずグッドデザインでも新領域を作られたりね、プラットホームを作られてるじゃないですか。やはり問題を可視化するプラットホームなんですね。子供の誤飲とか、いろんな問題がこうやって出されると見えてくるんですけど、こういうことが出てくるまでは、事故を見ている小児科医の中で、かなり属人的な知識としてだけ存在していた。だからいつまで経っても、こういう問題を起こすものを作ってしまっていたんですね。キッズデザインが出来てきたことで、どこを改善すればなにが解決するということが可視科されたんですね。キッズデザインてのは小児科医だとかに断片化され俗人化されていたために存在していなかった暗黙知を使った、これはホントに大きなお仕事ですね。

赤池
安心安全情報の循環型社会作りになっているんですね。事故をちゃんと調査する仕組みがある。そうした情報をキャッチアップする住宅メーカーがいて、デザイナーがいる。社会全体で共有されていくんですね。循環型社会っていうとみんなマテリアル型の循環型社会をイメージされると思うんですけれど、情報の循環型の社会づくりって考えると、いろんな分野があるんだろうなって思います。

竹村
子供に敬意を払う社会作りになってないんだって気がつくきっかけになったと思いますが。それを通じて真っ当な物作りに導かれていく窓口になっていく。こうした試みは海外で行われているんですか?

赤池
海外ではこういう見地で作られているアワードはないんです。

竹村
ニーズとシーズを世界に提供に貢献していくっていう価値はありますよね。これやっぱり来年キャラバンやりましょうよ。そうとうこれは世界的なニーズがあるに間違いないし。僕はもともと人類学がベースなんで、人間が他の生物となにが一番違うかっていると、特別老いるのに時間がかかる生物なんです。生殖能力を失ってから長く生きる。生殖するってことから解放されて、エネルギーと時間を割ける生物ってのは他にはいないわけですよね。

赤池
高齢者は生物学的に言うと、速く逝っちゃってくれたほうがいいんですよね。

竹村
高齢化時代ってのは産業社会の論理からいうと、とても非効率なんですが、非常に生産的なポテンシャルを持っているのではないか。子供とお年寄りを保護という視点で考えるのではなく、リソースとして考えるというのが人間らしい社会の構築に繋がる。そういうところを高齢化先進国の日本が、本来であったら先にやれるはず。子供と、老いってのは、20世紀的社会では周縁に位置づけられていますが。

赤池
それと繰り返していいますが、絶対にビジネスになるんですね。中国はこれに非常に都合いいように一人っ子政策をやっていますね。ユニバーサルデザインマーケットで非常に大きな潜在ニーズがあるんですよ。そこに日本はキッズデザインみたいな考え方を中国に提供してあげる。よっぽどそういうことが外交手段になってくると思いますよ。

竹村
グラハムベルがなんで電話の発明に至ったかっていうと、奥さんとお母さんが聴覚障害だったんですよ。それで骨伝導で振動を音声に変換することが結果的には電話としてニーズが爆発したっていうのがあります。IBMのホームページリーダー。音声化ってのは非常に重要なニーズになっている。障害っていうのがもともとターゲットにしていただけのニーズだけではなく、どうしてももっと障害者のためのデザインみたいな狭い領域を超えて利用されないのかなっていつも思うし、高齢者社会って障害者がマスになる社会じゃないですか。それがまだ社会の周縁に置かれているのかってのはほんと不思議ですよね。

赤池
お年寄り嫌いなわけではないんですが、あの方々のためにいろんな日本の機材を過剰投資するのはおかしいだろうなって思っていて、現在のお年寄り目線の物作りは、なんかストンと落ちないんですよ。子供に対する試作評価はきちんと丁寧に行われないんですね。六本木ヒルズの事故みたいなことを繰り返しちゃうし。根幹にこう、、、あるんですね。僕らデザイナー・・・まともなデザイナーってのはいろんなアイデアを持っているのは何故かというと試作評価に関わっているからなんですね。ユーザビリティテストをすると、こんな使い方するのー!みたいなことよくありますよね。そういう考え方を大学の先生も官僚も知らないといけないですね。なんか今、金持っているのはシニア富裕層だからそこに向けて作ろうってような考え方はそろそろやめようよと思うんですね。

竹村
お年寄りをバカにした考え方であることはよくあるんですね。三人称として子供を見る限り、大人の基準を子供に押しつける。子供と本当に向き合って二人称デザインをできていることは非常に少ない。三人称デザインばかりなんですね。それは結局は自分自身をバカにしたデザインばかりになっている。環境に対してしていることは必ず自分にしていることにもなる。すべて物作りをしている人に関わってくる。もう一つ子供と高齢者ってことを外しても議論したいことは、子供と高齢者を縦糸だとすると、横糸にあるのが経験だと思うんです。誤飲であれ事故であれ指を切っちゃうとか、なんでも経験の次元で捉えているとニーズも見えてくると思うんですが、物作りの現場で経験のデザインていう視点があることは感じられます?

赤池
感じますね。いわゆるデザインを含めた開発と生産のところのコミュニケーションがこれまた無いんですね。会社の社長さんは物作りバカではないから、社長になれていると思うんですが、パワースピーカーになっちゃって、こんなんでどれだけ数字あげられるんだよ!ってつい言っちゃうんですよね。企業のトップってのはパワーリスナーでないといけないと思うんですね。やっぱり心を込めてきっちりリスニングできる会社ってのは、こういう変動できる社会の中でも生きていくことができるんですね。作るほうは面倒とかいろいろ言うんですね。なるべく開発プロセスはシンプルなほうがいいと。しかしこれも愛の循環だと思うんですよ。なぜにこんな面倒くさいものをあんたたちに作らせるんだと生産の人たちに伝えることができていないんだと思うんですね。そこの壁を越えることができたら開発と生産は仲良くなれると思うんですね。そういう流れをマネージできる。そういう立場にある人たちが子供目線でもう一度最精査してみろよ、って言えるだけで世の中変わってくると思いますよ。

竹村
シックハウス症候群みたいなものは、おまえそんなとこ居れるかよ、みたいなことが平然と行われてきたんですね。自分がその場所で過ごすという軸で考えてみると、どんな代わりの防虫素材があるかとか、当然そこへ行くはずなんですけど、やっとそういうことが始まっているとしても、そういうことがいままで無かったってことが、日本の物作りっていうのはどのへんから、そういう「経験をすっ飛ばした」物作りが始まっちゃったんですかね。

赤池
かつての日本の物作りってのは基本的にユニバーサルデザインだったんですね。ある個人の課題に答えるかたちで、職人さんたちがカスタマイズの生産をしていたんですが、結局一つのスタンダードで金だけかけて効率していくことから始まった。結局ハードウェアがそれをしていて、みんな蛸壺なんですよね。要するにかつて経験原則でやってきたグッズなものに、手を触れられない人たちが論文を書いているんです。論文は他の人たちと違うことを書かなければいけないから。必ずイノベーション社会って言葉がでてくるんですが、そういう蛸壺研究されている研究者を採用担当にしてしまっていたりするんですね。

竹村
昨日ソニーの出井さんと対談をして、いいものをつくれば作るほと採算がとれないようになってきてどうしたらいいんだ、って。誰でも本をアマゾンで買えちゃったりとかね。情報の非対称性がなくなってきて。「こういう特別な経験を提供できます」っていうような旅行代理店は必ず繁盛する。モノづくりもそういうふうになってくるんじゃないですかね。今のケータイも家電メーカがつくり、ユーザーがつかう。その間に情報経験産業ってのが生まれうるはずですよね。20世紀的な産業構造を見直すところまできているし、日本文化ってのは物作りを外在化させなかった文化なんですよ。箸っていうのは人間の感覚が加わらないと完成しないようにできているんですね。ナイフとかフォークってのは経験が外化されているから。人間が考える余地がない。サリーと洋服。洋服ってのは形ができているから首を通すだけ。サリーは一枚の布だから、かんたんには着れないけれど、経験が増えてくると多用な着方ができるようになる。それが21世紀型の物作りの価値になるんだろうなと思っているんです。

赤池
カトラリー系のデザインをずいぶんやってきて。日本の箸は混ぜる機能をデザインしていないですよね。それがあるゆえに、我々は口の中で味や香りを感じることができる可能性を残してきたんです。作法としての経験のデザインがすべてくっついているんです。粋の話。すいのほうの粋ですが、粋なデザイン。ここに究極のエコデザインのソリューションが潜んでいるなと思っています。江戸時代の豪商だって、プライベートビーチ買い占めたりなんかしないじゃないですか。家の中に坪庭を作って、そこに宇宙を凝縮させるところにお金をかけていく。そこを20世紀ちょっとだけ勘違いしたけれど、こういうセンスウェアが深呼吸して取り組み直していく。

竹村
日本は「物作り国家」だって、誤った認識があるかもしれないですね。人に真っ当なリスペクトを計るべき。生きることの礼儀を担保するような。美しい生き方、美しい物作りが成り立っていた。そこを誤認して「物作り国家」だと思ってきてしまっていた。それが本来の日本文化のOSに立ち返ることで経験のデザインとかものすごく大きなフロンティアが眠っていると思います。次の地球時代の領域を開いていくきっかけになればと思います。
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