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地球大学アドバンス 第27回 生物多様性シリーズ : 2「生物資源と生物多様性条約」


地球大学アドバンス 第27回 生物多様性シリーズ : 2「生物資源と生物多様性条約」
speaker:竹村真一氏 × 長島孝行氏(東京農業大学 教授)
date & place:2010.02.15
新丸ビル エコッツェリアにて

竹村
蜘蛛の糸。構造的な強靱さ。あれにかなう構造物って人類はつくっているかなと思う。生物界には人間の創造のつかない凄いものがありますね。INAXは汚れないナノ構造のトイレをつくっていたりしますが、それはインドのカタツムリの構造からもってきている。インドネシアの蟻塚、非常に暑くなるんですけども蟻塚はクーリングシステムをもっている。シルクが紫外線とかガンに効くのかなって。人類はいままで進歩しすぎて自然を破壊してきたのではなくて、未熟だったから破壊してきたんだというのが私の持論でありますけども。生物種の大多数がものすごい勢いで失われている。一日あたり70km2の自然がなくなっている。面積において炭素の貯蔵限である森林が失われているとかいう量的な部分だけではなくてソフトウェアとしての部分が失われていること。そこにちゃんと取り組もうというのが今度のCOP10。このあいだのCOP15と同じ歴史を持っているのですが。自然をコンサベーション、多様性の宝庫である自然をいかに回復していくか。地球の気候の安定装置である熱帯雨林を保護していこうということもありますし、経済的な利益をフェアに南北でわかちあおうというのが生物多様性条約の論点であります。ブラジルとかインドネシアが、森を破壊してしか経済的に成長できないのではなく、ちゃんとそういう国々に経済的な資源が帰ってくる可能性。そういう問題も含めて人類の未来を考える岐路に立っている。

長島
生物多様性っていう言葉。中身がすっごく難しい。たまたま昨年夏に国連大学でシルクダイバーシティという名前で、一ヶ月間展示、講演をしました。一つはネイチャーテクノロジーっていったいなんなんだっていうこと。それからシルクダイバーシティ。地球のソフトウェアをもう少し有効に使う手段があるんじゃないか。それから米作りもやっていますがこれは時間があったらお話します。

繭(まゆ)はいろいろなものになります。粉にもなるし溶液にもなる。蚕以外にもまゆはいろいろあるんですね。Silkを超えたシルク。Cottonを超えたシルク。生物多様性条約。これは昔から言われている自然を守ろうと。それから利益を公正に配分していこうということ。生物領域とはちょっとかけ離れたところまで話はいくからいままでの生物学者の話では説明できない。

生き物。自然:シゼン:しぜん。なにも手を入れていないと漢字で書く。人間が手を加えたものをカタカナで書く。これ造園学だとあたりまえなのだそうですが、一番多様性にみちあふれているのはこの真ん中なんですね。田んぼの生き物ってトータルで2147種類もいる。2001年に文部科学省にレポートを出したんですね。人類というのは不思議な行動をとるんですね。再生不能資源(石油などの化石燃料)が21世紀のどこかで枯渇するんですね。それとともに再生可能資源も使ってしまうんですね。そして不思議なのが結果的に人類の人口まで減らしてしまうのです。再生する資源を先進国の人たちは使っていかなければいけないので。僕らが行っている「千年持続学」っていうのはここらへんのことを行っているんですね。千年持続するような、そのくらい長い年月で社会っていうものを考えていかなくてはいけないよ、ってあたりが私の研究の基本です。

20世紀の科学から脱却しなけりゃいけない。これを科学者に言うのはなかなか勇気がいるんですよ。なんてったって20世紀の科学は間違っていたってことを言わなきゃならない。全部ダメだったとは言わないけど失敗も数多くあった。枯渇する資源に委ねてしまったってこと。それに右をならえをしてしまった。今更と僕は思うわけですが。石油が使われ始めてからわずか半世紀です。それまでは自然という資源をつかって活動していたわけです。人類がなにを愛するのか。中にはものすごく自然を愛する人もいます。自然を残したければどうしたらいいのか。それは人類がいなくなればいいわけです。その駆け引きが難しい。
バイオミメティックス。人類が地球上に誕生してから20億年。生物は35億年前から繁栄していたわけです。虫たちの戦略をちゃんと見て、我々のこれからに活かさなければならない。素晴らしい機能性を持っているんです。そんなことを持って、アメリカでは1999年から国家戦略としてバイオミメティックスっていう言葉がでてきました。ほぼ同時に日本では「自然に学ぶものづくり」という言葉が出てきました。僕がやっていることとアメリカのバイオミメティックスとの違いはなにか。分泌物だとか、いままでいらないものだと思われていたものまでも含めて考えています。

サシガメから脳梗塞の新薬が開発されました。蚊にさされてもみなさん痛くないですね、あの針はものすごく精巧にできているんです。ここから痛みを感じない針が作られていますが、蚊自身が口の中で血液が固まってしまうと大変なことになるんですね、それで唾液をつかうんです。その唾液を実際に血管の中に入れてみたら血液がサラサラになったんですね。それで脳梗塞の新薬ができたんです。タイワンカブトから、モンシロチョウから、人間にとって素晴らしいものが生まれている。害虫をどうするか。ゴキブリはどう多様性を担保しているのか。

洞爺湖サミットでゼロミッションハウスというものをつくりました。参加したのは彼です。タマムシですね。美しい金属光沢をもっていて、見る角度によって変化する。塗装を塗るという石油由来の物質、から脱却できる。着色という概念から発色という概念に脱却できるんですね。ステンレスに科学塗料を塗るとリサイクルが非常に難しくなるわけです。僕ら現在200色まで再現している。

シルク。実は竹村さんのお父さんが「日本から養蚕をなくしていいのか」って本を書いてらっしゃいます。現在数十件しかなくなってしまった。日本が誇る科学技術は実はそんなに多くないんです。そんな中で日本の蚕糸科学は世界的にダントツでトップなんです。ジャンボ繭をつくることから、小さいものまで自由に操れるんです。何月何日に孵化させるっていうことまで自由です。この技術を今、なくそうとしている。調べれば調べるほど面白いんですが、シルクは人工では絶対にできないってことなんです。水素、炭素、窒素、酸素っていう四つを瞬時に常圧で強い糸にしてしまうんです。それもとてつもなく精密。直径10ミクロンx1500m(1mm x 150km)これは光ファイバーより凄い。人間には作れないものはあるんです。これを話しても工学部の先生はなかなか納得されない。人間は真似ることくらいならできるんですが、なんでも作り出せるわけではないのです。



地球上には10万種類を超えるシルクがある。私たちは広い動物界の中で、蚕蛾(かいこが)という一種に注目してきたんですね。チョウもふくめて、全部シルクをつくるんです。それから蜘蛛も貝も糸を吐くんです。20万、30万という種類の生物が糸を吐くんです。インドには幼虫が20センチの蛾もいる。大きすぎて解剖するときにマウスの解剖皿を使わなければならないんですね。金、銀、銅と鮮やかな色があるんですね。ウスバカゲロウも土の中で糸を吐いている。これは真珠色の繭をつくります。おしりからだすものもあれば手から出すものもあるんです。こういう風にして昆虫は繭をつくるのであれば、ものすごくいろんな機能があるんじゃないかと思ったんですね。一つはシルクってタンパク質だってことですね。柔らかくて強いです。カーボンの3.5倍。ポリマーよりも25%軽いんだってことです。まず、繭ってあんんまりカビないだろうってことで、ジェル化していろいろ実験した。それからアレルギーになるってことがあんまりないですね。昔の手術用の糸にシルクが使われていた。今も使われている。傷がものすごく速くなおるんですね。そういうふうに生体親和性がとても良いんですね。UVカットもする。油も吸着します。味もにおいもしない。生き物というのはある時期をシルクという眉で覆われているわけですね。長い場合は数ヶ月そのまま過ごします。さなぎの中ってドロドロなんですね。幼虫の中の細胞の80%が置き換わるんですね。なのでその時期に繭がなくなると一気に外的にやられます。シルクって粉末にして餅にかけると餅がかびないですね。これは便利です。化粧水、シルクタンパクと水だけの美容液ですね。防腐剤がいらないんです。二年ほど研究生として来ていた方の製品です。ロハスの先に、今はエシカルという言葉があるんですね。笑。

絹って不思議なんですけど食物に混ぜると柔らかくなるんですね。ケーキってカットして三時間もするとパサパサになるんですね。それが5時間持つ。桑。世界のCo2を吸収する三大植物に桑は入ります。タサールシルク日傘。紫外線遮蔽率が凄いんですね。この布はインドとかにたくさんある。蚕の繭じゃこんだけの遮蔽率にはなんないんですよ。シルクをいろんな名前で呼ぼうと思っている。ヤサンという虫がつくったからヤサンシルク。



愛知万博に中部千年共生村というパビリオンをつくりました。インドネシアにクリキュラっていう蛾がつくる金色の繭ってのがあるんですけど、インドネシアに落ち葉のようにたくさん落ちてるんですね。糸にしようとするとなかなか金色にならないんですね。それでプレートにしてみました。僕にとっては宝の山なんですね。それをくっつけただけなんですが。畳二畳くらいのものを何万枚もくっつけた。インドネシアではいままでこの金色の虫は害虫でした。しかしこうなってくると益虫になるんですね。金色の元になる色素がルテインだったんですね。白内障の薬ですが、ルテインはこの繭からもとれるんですね。この繭から糸をつくろうとすると25%しか糸にならないんですね。それで捨てていたものをなにかに使えるんじゃないか。いろんな方法があるよと、2005年にインドネシアの王女さんに提案した。この虫は、インドネシアではアボガドの木を食い荒らす害虫だったんですね。適度なところで食い荒らすから、見てくれはわるくなりますがアボガドがとれないってことはないんですね。人類はいままでは考えられなかった両方を手に入れることができるようになったわけです。よく人に「なぜ先生は日本にクリキュラをもってきて産業化しなかったんだ?」と言われます。これでは20世紀の繰り返しになってしまいますね。それにこの虫はインドネシア固有のものです。クリキュラの製品を売れた分だけ、植樹として帰ってくるようにしたんです。そして大洪水がなくなると。一石三鳥ですね。生物多様性条約というのはこのようなものになるといいなと思うんですよ。


クリキュラの繭

KOUSUKE TSUMURA2001。東京コレクションに出したんですけど、シルクってのはフィルムになるんです。

人間ていうのは、いろいろな反作用をつくってしまった。

最近カワムシっていうのに興味があって、石をくっつけちゃうんですね。これは水中接着剤になるぞって。肉もガラスもプラスチックも。テフロンまでくっついちゃうんですね。これは手術用のなにかに使えるんじゃないかって思うんですね。

草木染め。生きてるんですね。出来上がりがずうっと後になるんです。グレーのマフラーがあるんですが、お茶で染めたものです。草木染めにすると紫外線のカット量がちょっと多くなるんです。草木染めの新しい側面として、色のおもしろさだけでなく機能性が出てくる。それからシルクに草木染めをすると防虫剤がいらなくなるんですね。生物多様性というものは、ダイレクトにまとまるものではないとおもうんですけれど。

エネルギーの消費を拡大せずに、豊かさを獲得することだ。平和とガバナンス。持続性ということをつくりだすためには、平和で戦争が無いということが大事なんですね。心が豊かな時代を1000年持続させねばならない。縄文時代は1万年続いたんですね。その辺がどういうことかを考えなくてはいけないですね。

地球は生き物である。西洋の場合は経済の中に環境、農業、工業ってものを入れてしまう。日本の場合は神イコール自然というふうに捉えるんですね。おそらく西洋と僕らではそうとう考え方が違う。この部分をどう解釈するのかってことが大変難しいと思っている。AかBか。Aを人工産物社会と僕はいいますが、自然との共生的な社会をすればいいのか?答えは半分半分なんですよ。私たちが目指すイメージっていうものがまだつくれていない。そんな常態でにっちもさっちもいかない。サステナビリティのデベロップメントであると。我々はデベロップメントするっていうことはもうやめたほうがいい。養老先生は「日本の成長はもう店じまいしたほうがいい」ってなことを言っています。成熟した国家への移行。それはもっと日本的に言うんであれば「懐かしい未来」っていうふうに本に書かせていただきました。


竹村
江戸時代末期の三浦梅園ていう哲学者がですね「枯れ木に花咲くより、生木に花咲くを驚け」って言うんですね。神秘とか奇跡に驚くのは我々のマインドが未熟なだけなんですね。当たり前のことにどれだけ驚けるか。まさに先生のお話は、昆虫の中にある当たり前のことを研究されている。こういうことがまずすべての小学生が学ぶっていうことがどれだけ大事か。

我々は、単純に量的に太陽から膨大なエネルギーがもたらされていることが凄いなって言っているけれど、太陽からみれば地球はすげーな!って思ってるはずなんですよ。太陽エネルギーが有効に使われているのが光合成という形で酸素とか水素にクリエイティブにつくりかえられている。それを我々は蓄えて活動しているわけです。その過程をインフォルム、インフォーメーションだと思っているんです。タンパク質の段階で発揮しているすごい段階が、アミノ酸に分解してしまうとなくなってしまうんですね!ここを蚕さんはとんでもないものをつくっている。

長島
まもなくノーベル賞ととるであろうという志村先生という方がいたんですが、半導体研究をこのまましていってもなににもならないといって研究をおやめになってしまったんですね。それと共通するかもしれないですねー。

竹村
バイオミメティックス。それを我々がうまく使うような技術を発達させるべきだ。ここで私は、国粋主義的なことを言うつもりはないんですが、日本の工が、工業を意味するようになったのは最近のことですがもともとは工芸の工だったんですね。上の線と下の線をむすびつける縦棒が工だったんですね。我々が上と下をくっつけることを考えることが21世紀の工学なんじゃないかって思うんですね。

長島
シルクでつくった靴下。これは抗菌効果が強いから、二日間は履けるんですね。それでNASAが宇宙に持っていけるかどうかを審査したんですよ。そのとき言われたのが「おまえ達はなにをしてこの靴下をつくりだしたんだ?」って言われたんですよ。おそらく遺伝子を改変したんじゃないかって思われたんでしょうね。

竹村
これも遺伝子組み換えなんですよ。ただ人間が短期間に組み替えたものではなくて、自然が何万年もかけてテストしてきているんですよ。ひとつのバランスを構成しうるかどうかっていうことも含めてテストしているんですね。局所合理性を超えて、はるかにはるかにすぐれた合理性を尊重してつかっていこうよっていう。さっきのもう一つの工っていう話にもなりますけども、現地の生態系とか、それを使う人々の文化やライフスタイルをもふくめて保全していきましょうよという。生物多様性会議に参加される方でもそういう考え方はマイノリティーなんじゃないですか?

長島
文化の違い。いま、もやもやとなんとなく地球を守ろうと。じゃあどの程度守ればいいのかっていうと、究極を言えば人類はいなくなってしまえばいいっていうことにもなってしまうし。

竹村
でも、先ほど人間が手を入れた方が素晴らしい自然になるとおっしゃった。ほおっておけば荒ぶる自然であったところに手を入れてきたから。工という概念にあるように、日本的なOSをインドネシアやブラジルに広げることができたら。全世界がアメリカの研究のようになってしまったら、こんなに貧しい地球はないわけですよね。Co2削減とかいう以前に非常に大きな問題だと思ってるんですが。

長島
もっと大事なこと。生物多様性条約っていうのがいいかたちで進んでいけば、資源の確保って話になると思うんですね。

竹村
社会的に共有されていくと、田んぼってのは、米をつくってなんぼで。田んぼとか里山の農業生態系っていうのがこれだけの資源ネットワークを担保しているわけだから。経済価値で計っても膨大なものだよねっていう。

長島
ご飯六杯でトンボ1匹、ミジンコにして5093匹分なんだそうです。一杯が3,000〜4,000粒だと考えて。35匹のオタマジャクシがいる。かえる一匹で5杯。日本人は米を食わなくなったっていうけれど、それでも一日平均2.6杯食ってるわけです。つまり二食は食べてるんだってことです。うちの学生がやってることで、カブトエビというエビをつかって田んぼをやっています。雑草が見事に無くなるんですね。このエビ一日中、土を掘り起こしてるんですね。雑草の根をとってしまう。言ってみれば半永久的に再生される農薬なんですね。

竹村
人間と植物の共生系。ものすごいエコノミーにもなりますし。さきほどの話ですが、アボガドは幼虫がたべちゃうんですね?どう共生していくのかということは、いままでサイエンティストが語ってこなかった分野ですね。先生の発想だと、システム全体を保全しなければならないということですね。全生態系の潜在的な価値を評価するようになるし。草木に染めるようになることで人間の住環境をつくる。懐かしい未来、っていうだけでは済まない、かつてのバランスの良い江戸期だけでは感じれなかった、本当のサイエンスだなって思うんですけど。

長島
システムっていうことをつくっていることを僕らは再認識しなければならない。

竹村
化粧の語源であるコスメティックスはコスモス、つまり宇宙から来てますから。宇宙を身にまとう。

長島
ハニカム構造。あれもバイオミメティックスなんですが。ウスバカゲロウはシルクと土をうまくつかって家をつくるわけですが。ものすごく快適なんだと思うんですね。虫の大きさと、繭のサイズの関係ってどうなってるんだっていう。そこから最終的に人間が生きる空間てのが出てくる。土と土を接着させるということ、それと内塀の要素。

長島先生のアイデアは、今の経済システムにどう組み込めるのか?

金色の糸をつくることができるようになったんですね。クリキュラの繭をそのまま糸にしてしまうと黄色になってしまうんですが、それを他の生態の繭に乗せてあげればいいんですね。それをうまくつかって岩手県を救済することができるんじゃないかということをやっていたりします。

大学発ベンチャーは、もっとフレキシビリティをもって。そこでお店を持っちゃって売り始めるとか。

竹村
長島先生が、インドネシアから要素を持って来ちゃうんじゃなくて、そこを活性化させてこそだっていう。極端な場合には、それがインドのニームの木みたいに、製薬会社が権利を持ってしまって現地の人たちがそれをつかえなくなってしまうようなこととかおきてくるんでしょうね。

長島
これからそういうことが出てくると思います。日本でしかできないことっていうのもあるんですね。基本的にアメリカは綿の国ですから、クリキュラのことが問題になるようなことはない。日本は逆に絹の国ですから。ナノテクというのがまだ途上国にはいっていない。生物学の世界でナノっていうのはまだまだ極めて少ない。

工学部の人たちは生物に興味をものすごく持っています。金属学会だとかいろんな学会で講演します。素晴らしい技術を持っているんですけれど、システム的にトータルに考えるってことが大事で、一緒にやっていこうって話になっています。

学部とかそういう組織でもってこういう動きはないんですよ。千年持続学って、農学だけじゃなくて地球物理学者とか、竹村先生がよく知ってる人たちでやってることだと思うんですね。生物学なんてシステムを見る学問なはずなのに、みんな一方通行になってしまうんですね。少なくとも僕の研究室ではそういうことをやっているんですけども。

竹村
農学部っていうのが、工業化の時代では二の次にされ、それが生物とか遺伝子っていう話になると脚光を浴びるんですが、それをうまく活かさないと「農業工業学部」になってしまう!ご多分にもれず農大の中でもメインストリームになることは難しいと思いますし、都市の多くの人々が目に見える場所で、可視化してくれるような窓をデザインしていくってことですね。

長島
考えられていることはまったく同じですね。

竹村
農学や工学がナローバンド化していることと同じように、デザインだとかアートの分野もそうなっていると思うんですけども。デザインていうのは本来そういうことをやる分野だったと思うんですが。プラネタリーデザイン課、となるかどうかはわからないんですけども、そういうことが農学部でも生物学部でもできないんじゃ、デザインの分野がやるしかないじゃないかって思っています。

長島
日本の養蚕がなくなってきた。これからどうしたらいいかっていうと。補助金てのが大きかったと思うんです。ここに来て養蚕農家がなくなってきて、実はあと一年半で補助金がなくなるんですよ。1kg三万円でどうしてやっていけないかっていうと、ものすごく労働が大変なんです。それは良い糸をつくろうっていう概念があったんですね。そこで概念をとっぱらって悪質な糸をつくってもいいんじゃないか。美容液ならそこまで良い質ではなくてもいいんですよ。実は洞爺湖の牧場を友人と買ったんですよ。生産から美容液をつくりながら、僕らは馬で散歩でもしてればいいんですよ。一日二時間、三時間の労働でもできるんじゃないか。なかにはリンゴで育つ蚕ってのもあるんです。いままで農業っていうのはコストを削減するってことをあんまり考えてこなかった。日本てのは食の自給率で云々て言っているんですが、素材ベースでいけば66%は自給できているんですよ。カレーだって、コーヒーだって、日本じゃつくれませんから。それから日本は綿がないんです。不可能なんですね。味噌汁とご飯で食事をしている人は実は裸なんですね。日本は資源をつくらなけばいけない。それが養蚕なんですね。資源を持っていない国はこれから実に弱いです。そういう点から絹というものをもう一回見直すというのは大事なんじゃないですかね。

竹村
地球温暖化と気候変動って同じくらいブラジルのサミットからでてきたわりには、今日出てきたような議論ていうのはほとんど社会的に共有されていないですね。CSRの延長線上からみている企業はいるけども、生態系を保全するっていう観点から関わっている企業はまだまだいない。

長島
洞爺湖は結局、原発をどんだけつくるかって商売の話で終わったんですよ。だから今回もその辺が怖いんですね。結局は政治の問題だなと思うんですけども、政治の問題だけにしていいのか。

竹村
社会の浸透までふくめて話をしていくのに、まだまだトラップカードが少ない。アマゾンがいまのペースで破壊されていくと、20年後にいまの60%が破壊されるだろう。失われないように対処療法だけども、経済的になりたつかたちで時間稼ぎをすることには意味があるんじゃないだろうか。時間稼ぎとしてのCOP10は非常に意味があるだろうと、僕は思います。本当の議論は10年後くらいだろうね。

長島
いつも思うんですけども、あれだけの国が集まると現状に差がありすぎるんですよね。まずは認識から始まるんじゃないですかね。

竹村
COP15に行ってみても感じたんですけども、感じている人から感じていない人までとにかく全世界から集まるんですよ。COP10名古屋ってのは画期的な役割は果たせると思うんですね。国連の会議ってのはまとまらないのはしょうがないんですよ。それを媒介にして集まれることに意味がある。社会が、国連を媒介にして有効活用しようっていう感じですね。

気候変動以上に、この分野での日本の役割は大きいと思いますね。日本がやらなかったらどこがやるんだって感じですね。

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地球大学アドバンス 第26回 生物多様性シリーズ : 1「地球の担保『種子』を守る」
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地球大学クリエイティブ 第4回 赤池学「なぜいまキッズデザインなのか?子ども目線で考える」
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デザインの窓 第6回 染師/吉岡幸雄編
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