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アップル代は、もはや水道代や電気代のような感覚になっている。


日本時間10月21日未明、アメリカはカリフォルニア州クパティーノで行われたアップルの新製品発表のストリーミング映像を見終えた僕は、割となんの躊躇も迷いもなく、新商品入れ替えのための「We'll be back soon」の画面表示が終了した直後あっという間にクレジットカード決済を行い、粛々と買い換え作業を行っていたのでした。
今回購入作業をしたのは、MacBook Air 13インチ(2.13GHzのIntelCore2Duo、256GBのフラッシュストレージ、4GBのメモリ)である。最上位モデルのフルセット。メモリやストレージを後から行うことはまったく出来ない仕様なので、オンラインでカスタムした上で発注。消費税込みで168,330円也。出荷予定日は3営業日後とのことなので、いまのところまだ手元には無い。MacBook Airは2008年の1月に初代モデルを購入してから、スペック的な問題から2009年に二代目モデルに買い換えて(劇的な速度向上が行われた為)これで三台目となる。とても良いコンピュータだと思う。

今回買い換えに踏み切ったポイントは主に3点。ひとつは液晶の解像度が1280x800pixelから1440x900pixelに向上したこと。それから、メモリの上限が2GBから4GBになったこと。(大量のメモリ消費をするような作業を繰り返すことが多いので、メモリ不足に常に悩まされてきた)そして、バッテリの持続時間が4.5時間から、7時間まで増えたこと。しかし、まぁ実際の所はどれも決定的な問題でもなんでもないんだけれど。

月々5,500円ちょっとの、水光熱費的ななにか。

じゃあなんで買ったの?って聞かれて。たぶん一番大きな課題なのは、まだある程度値段がつくうちに二代目の方を売ってしまって、そのお金+αの投資分で買い換えてしまいたいのである。Appleの下取りサービスを使うと、ソフマップの本日時点での買い取り価格査定49,000円にさらに+15%が付け足されて、56,000円くらいで売れるわけで、今回の購入価格からそれを差し引くと、だいたい10万円くらいの投資となる。これをどの程度の期間で焼却するかということになるのだけども、過去の購入履歴から考えるとだいたい18ヶ月で買い換えているので(ここの期間の見極めが難しい。一年以内に決行してしまった方が、買い取り価格が高く損も少ないケースもある)一ヶ月あたりにすると5,500円ということになる。水道代よりは電気代に近い感じだろうか。スペック的な問題や保証の問題、バッテリのへたり、液晶が暗くなるなどなどの時限的な問題は、買い換えのタイミングで一気に解消される。

できれば、もう「所有」はしたくないんです。

「所有」とはいったいなんなんだろう?コンピュータを買い換える度に、この根本的な問いについて考えてきた。(2007.04.28 指数関数的増大)コンピュータと速度の問題、つまりコンピュータそのものである集積回路チップが18ヶ月で二倍の集積密度になるために、速度が二倍ずつ指数関数的に増えていく(その結果として経済価値が半分になる)ものと、当面は付き合っていかなければなさそうなわけである。なのでそういった劇的に速度向上したりスピード変化の速い所有物に関しては、もはや「所有などしたくない」というのが正直なところなんだけども、メーカー側はそれに気付いているのかいないのかはともかく、いまのところ個人向けの手頃なレンタル/リースサービスは無いように思う。



そんなわけで、今回の第四世代MacBook Airは、メジャーアップデートでありながらも、いままでのものと比較して、実はそんなに差異が認められない程度の進化でしかなかったのだが、どうも発表以来めちゃくちゃ売れている。一つの大きな要因は11インチっていう日本人のライフスタイルにぴったりなサイズをリリースしてきたことがあると思う。けれどももう一つ面白いのが、いままでMacBook Airに興味を示さなかった層の人達までリーチしている感じがする。どうしてそこまで到達できたのだろうか?

関心層の変化。

今回からすべてのモデルに搭載されるようになった「フラッシュストレージ」というものについて、どうもまったく新しいものだと思っている人が多いのだが、これはもう二年も三年も前から存在する「SSD」(ソリッド・ステート・ディスク)と同じものであり、いままでのMacBook Airの上位モデルにも必ず搭載されてきた。これはいいもんだぞ〜!(2009.01.06 あなたのコンピュータが3倍速くなると聞いたら)と、周囲に散々言ってきたのだけれど、ようやく最近これの価値に気がつける価格になってきたっていうのもある。しかし、直接的にはずいぶん長い仕込みがあったのです。

iPadやiPhoneの速さで起動します。

一度iPadやiPhoneを使うと、コンピュータっていうのはボタン押して一瞬で起動するもんだと思うようになる。(当然これは「フラッシュストレージ」が実装されているからである)実はMacOSもずいぶん前からそういうことになっているのだが(フタの開け閉めだけして、稼働時間一ヶ月以上とかざら)いまだにそれを知らずにコンピュータを使う度に電源を入れて、OSの起動時間を待っている人がいるのだが(これ本当の話)特にウインドウズPCはいまだに、スリープモードからの復帰に何秒もかかる仕様のままなので、多くの人達にはまだまだ伝わっていない話なのかもしれない。



今回の発表の中で、来年夏に発売するという新しいMac用OS「MacOS X 10.7 Lion」についての発表もあった。その中で、Lion の設計の考え方は、まず、コンピュータ用に開発されたMacOS Xの技術をMacOS Xをベースに開発された iPhoneに引き継ぎ、そのユーザビリティを、iPadで発展させた。そして、それによって得られたものをMacにフィードバックしていくというような趣旨のプレゼンテーションであった。この図を見ていると、どうもこのような流れはソフトウェアの話だけではないように思えてくる。

人間の認知への文脈の繋ぎ方。

つまり、今回のMacBook Airの内容には、まるで技術的には新しいものは(ほぼ)一つも無いのである。既にあるものや、いままで広く認知されていなかったことの文脈を、ひとつひとつ丁寧につなぎ替えていったことよって、今回の劇的な購買行動に繋がっていると言える。

周到に練られた、人間の認知にアクセスするための、流れっていうか文脈の繋ぎ方、その設計が素晴らしいのだと思う。SSDとかそういう難しい言葉を無理に理解させようとせずに「iPhoneとかiPadの起動速度」だから買う。みたいなことが起きている。それでiPhoneやiPadで広まった認知が、そのままMacBook Air(いずれすべてのMacがそうなる)に注ぎ込まれていくその勢いっていうか、周到に仕込まれた文脈が繋がって、まるで濁流のように流れていくさまを見せつけられたという印象を受ける。これがまさにイノベーションというものである。(今回はノートブック型コンピュータにおけるイノベーションでした。)

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iPadは何がどうイノベーティブなのかについてご説明します
http://tamachan.jugem.jp/?eid=653
| - | 00:41 | comments(1) | - |
アップル代、月々5千円という視点には驚き増した。確かにおっしゃるとおりですね・・・
でも、そのお金がやりくりできないびんぼー人だったりしますw

うらやましいなあ・・・。
| うらやましい! | 2010/10/25 5:45 PM |