tamalog

Output and input from 1998 to 2010
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それだけの思い出が語れるなんて、とても素敵なこと
僕はかつて慶応大学の湘南藤沢キャンパス(以下SFC)に潜っていた。いわゆるモグリだ。2000年〜2004年くらいまでのほぼまる4年ほど。そもそもSFCを知ったきっかけは二つある。一つは当時「電脳隊」というITベンチャーの記事を読んでいたときに創業者で、川邊健太郎氏らに代表される、インターネットを用いた事業家が注目されるようになり始めた時期だった。今となってはだいぶたわいのない理由だったと思う。(いや、しかし彼らのような人物に出会ってみたかった)

それと大事なことをもう一つ。当時の僕は今では想像もできないくらいのコンプレックスの塊だった。特に、学歴コンプレックス。僕は学校という集団生活になじめなかった上に勉強をするなどということはまったくできなかった。大学なんていうところはなにが面白いのかさっぱりわからないと本気で思っていた。結果どうなるかは想像がつくだろう。そう、今ならばきっと「格差」というコトバを利用して、下級社会に組み込まれて、ひがんでいるだけの人間になるところだった。トガっていることが取り柄だった。世の中全部が敵だった。なんてくだらない世界だと思っていた。

それがどういう運命のいたずらか、当時、空想家電サイト(現:空想生活)を一緒につくっていた尚明に出会ったことで、SFCに行くことになる。そこは、僕が勝手に想像していた「大学」の世界とはよほど遠かった。東京からほどよく離れた藤沢に、1990年に情報通信の最先端の大学として慶應義塾に新しくできた学部だった。(その頃川邊氏に関する記事を読んだということもある)

初めて湘南台の駅に来たのは99年の秋祭の頃だった。まだ各駅停車しか止まらない小田急線独特の雰囲気の駅舎で、駅を降りた先の有隣堂は、今はもう無くなって隣のドトールの上にあったオリーブの木もなくなってしまった。駅から大学までの間、もう今は住んでないたくさんの友達の家の前を通るのはいちいち切ない。大きな地球儀のような市民文化センターの前にあったフェイスの事務所、ここが湘南台での最初の住処だった。そのお隣さんだったITベンチャー、ニューロンの社長だった駒崎くんとは今度同居人になる予定。その彼が創業した映画サークルの当時の代表だった輔にこっそり一年生のふりしてサークルに入れてもらって、一年生のふりしたまま一緒に作品つくって熱海に合宿にいったり。大地震がきたらやばそうな相鉄ローゼンの上の団地は家賃が安いからたくさんの友達が住んでいて、りゅうの家もここにあったから2003年のキャンドルナイトの立ち上げのときは、半年くらいここで生活してプロジェクトの前線基地になっていた。線路脇の久美ちゃんの家ではよくご飯をたべてたり、あまり男と思われていないのか泊まってたりもしたっけ(むしろ彼女がうちに泊まることの方が圧倒的に多いが)。公園前のいなばっちの家(ん?彼はまだ住んでいるのか)は、イナバコンピュータクリニックと言って駆け込み寺になっていた。警察裏の吉本くんの家ではオープンリサーチフォーラムの準備で半田ごてやらサーバやらと格闘して徹夜してた。大学の中でも映画サークルに居た頃によく泊まっていたラムダ棟や、カタリバの立ち上げのときにチラシをつくっていたガラス張りのデルタ棟。一番大きな教室で授業を聞きながら仕事していたオメガ棟には一番大好きだった近代史の授業と、インターネット概論の授業が隣同士だったから月曜日は必ずここに居たな、近代史メイトの桂子ちゃんはパンとかお菓子とか持ってきてくれたのはうれしかったなあ。イベント前になるとだいたい大学院棟に大型プリントに駆け込むのでした。鴨池脇のラウンジ、今はサブウェイになってしまったけどもここが一番居心地がよかった場所。和食屋さんの八田に行くと竹中平蔵のサインが飾ってあって、行くと必ず誰かに会ったね。初めて尚明につれてこられた湘南台で入ったパスタ屋、ニューオリンズは顔なじみになると銅のカップに入ったカフェオレが出てくるんだ。りゅうのサプライズバースデイで行った横浜ドリームランドはもう閉園してしまって今は跡形も無い。夜中修悟の車で茅ヶ崎の海に行って好きな女の子の名前を叫んでた。茅ヶ崎の海水浴でダウンすると巧ちゃんの家で介抱されたり。キャンドルナイトの当日に行った江ノ島の灯台、七里ヶ浜の珊瑚礁、、ああ、夜中修悟の車で絢子と尚明と忍び込んだ観音崎灯台。

今日、たまたまSFCに行って、もう昔のことと思っていたけども、いっぺんに雪崩のように出てきてしまった。ここで友達100人、本当に出来たと思う。

最も尊敬する後輩(いろいろな意味において)の岩井くんとそんなことを話していて

「それだけの思い出が語れるなんて、とても素敵なことですね。普通に学生やっていても最近はそれだけの輪が広がることはないですね。羨ましいですよ」

そんなことを言われた。彼が来年卒業すると同時に、ほとんど直接大学に行くきっかけはもう無くなる。

なんのために大学に行っていたかというと、たくさんの思い出をつくりに大学に行っていたわけで、もちろんアカデミックなことに対する好奇心は大きいけども、別に学歴もいらないし、資格もいらないんです。どれだけそういう思い出をたくさん持っていられるかが、なによりもかけがえがなく、ある一時期にしか体験できないとてもとても大事なことだと思っていたから。そんなことが思い出せるってとてもとても幸せなことだと思う。
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[雑記] 2006年10月20日 寒露 末候 蟋蟀在戸
新幹線の中の二時間半で何をするかって結構大事 / 一週間置きに行き来するとはたして日常にならないのかという実験 / 環境変更作戦第二弾、恵比寿でシェアルーム生活 / 仕事だけど「生」広末は良かった / 結婚式のたびに東京に帰る運命 / NPOカタリバさんの法人化祝いと引越祝いを兼ねて新しいtoppageをプレゼント / FlashActionscriptを習ってみた。が、これはひょっとして僕の仕事では無いかもしれないと改めて気がついた / エコにも飽きたけど、ITにはもっと飽きているのかもしれないという衝撃の事実 / 実はこっそりsustena.orgをリニューアル / サステナはカッコイイことが使命としてだいぶ大きいウエイトをしめている / ジムは一ヶ月くらい空けて行くとすごい体重が減ってたりするから不思議 / 3月に買ったRPGを7ヶ月かけてやっとクリア最終タイムは70時間31分よくそんな時間あったもんだ / やっぱりドラマは女優がツボだと見てしまう罠これとかこれとか / サステナは常識的なことが守れる人にはとてもとても居づらい場所なのかもしれないという気づき / 非常識なことが評価されるって、実はどうなのよ / ソウゲンの京都の写真を見てそろそろ地図作り始めなきゃ / NPOが熱意だけでイベントやっちゃうのはホント問題ですよねぇという金ちゃんの意見には激しく同意「ほ」はもうどうしていいものか・・・ / 「彼女できました」みたいな話はあっ!という間に広がる凄い伝播力だなと改めておもう / シブヤ大学をそろそろのぞきにいってみよう
| 雑記 | 19:32 | comments(3) | trackbacks(0) |
ニッポン
ニッポン ブルーノ・タウト 講談社学術文庫



僕はいままで漠然と大化の改新以来、約1500年間の日本の歴史と呼ばれるものの積み重ね、平安朝、源平鎌倉、室町、安土桃山〜江戸の積み重ね、そしてそこに大きく影響を与えた中国と仏教の混沌とした集合体文化を「日本」だと漠然と捉えていたけども、多くの外国人を通して日本を眺めていると、それは要素を適切に分解することで「日本的」である部分と、そうではない部分とに分解されることに気がついた。

そして、このくだりでは、日本の独特な二元政治(天皇と将軍)によってそれが表現されている。この場合、天皇が日本的なるものの象徴なのである。1936年という時代背景からこの書が日本のナショナリズムと符号しているような印象も与えるけども、70年後の今ようやくそのような邪推をせずとも直視できるのではなかろうか。

桂離宮に日本の古典的建築を見た眼には、それら(京都、東京、日光、鎌倉等の、今は寺院となっている、かつての将軍の屋敷)は建築芸術でもなければ、日本的でもないのである。それらは建築芸術ではない、何となれば、建物の構成が雑然たる装飾の中に姿を没してしまっているからである。それらは日本的ではない、何となれば、全様式が中国からの輸入であるがゆえに。しかもこの輸入品は正当に理解すらされていない。中国の絢爛と飾り立てられた宮殿、寺院建築は広大なる空間を基礎としているのである。何キロメートルも長い彫像の並木道をたどって行くとすれば、かくして遂に達せられる建物は豊麗豪奢であって好い。たとえばヨーロッパにおけるバロック様式の宮殿の原理に似ているのである。しかしこれはまことに非日本的であって、前庭や入口の並木路等の如きものを全く欠いている。日光のそれのような絢爛たる建物は、環境がどんなに美しくとも、それだけにますます不快な感じを与える。規模の均整はほとんど製図板上の図でも見るように凝固してしまっていて、遊覧案内書の中で日本最大の観物と讃えられているものは実は日本文化の大敗北である。実際、日光東照宮のあの著名な門を公平な眼で眺めて見るが好い!あれは実はまったく粗野な無趣味ではないか?
| | 11:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
神はGodやGODと大文字で書くだろう、同じように自然もNatureやNATUREと大文字とすべきだね
不思議な出会いは続くもので、京都の町屋に深夜現れたゲストによってもたらされた「フランク・ロイド・ライト ドローイング集」に乗っていた「プライスタワー」にまつわる話。



二十代の若きジョー・プライスに日本の美を教えたのは建築家のフランク・ロイド・ライトだった。

プライスの父は、オクラホマで石油パイプライン事業を手掛け、一代で財閥を成し富豪となった。彼が1956年に建てた自社ビルの設計を依頼した人こそフランク・ロイド・ライトであって、この時に御曹子ジョー・プライスは、ライトから直々にジャパニーズ・アートの本質を教えられた。

ライトは「日本の芸術は自然を本意とする。自然の観察に徹し、そこで得心した自然の構造を表出せしめるのが、日本の芸術文化である」とジョー・プライスに説いた。そして「神はGodやGODと大文字で書くだろう、同じように自然もNatureやNATUREと大文字とすべきだね」と語った。

その後、ジョー・プライスは大学卒業の記念にスポーツカーを買うべくN.Yへ来たが、街の古美術商で水墨画に出会う。そしてスポーツカーの代わりに購入した「葡萄図」が伊藤若冲の作品であったという話に繋がる。
| 日本の残像 | 03:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
ジョー・プライス氏との対話
speaker:ジョー・プライス & エツコ夫妻(日本絵画収集家)
date & place:2006年10月12日 14:40〜17:30(3〜4限)
京都造形芸術大学 N102教室にて

ジョー・プライス氏が「若冲と江戸絵画」展のコレクションの持ち主であることは前にも触れた。あの日、東京で彼の集めたコレクションを見てなかったら、江戸絵画や日本の良さがなにか、ということについて触れる機会はなかなかなかったでしょうね。造形大にたまたま張ってあった張り紙で本人が来ていることを知って、不思議な感慨深さがありました。

若沖は生前「具眼の士を千年待つ」と語った。それから約200年経って、N.Yで彼によって「葡萄図」が発見され、そしてやはり日本の価値は逆輸入されて認知される。
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| 日本の残像 | 19:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
デジタルメディアの出現は、地球の生命史における4番目の跳躍だ
ウェブサーバから消えていたのでサルベージしました。
個人的に、竹村さんのインタビューの中で最も好きな文章なので、サーバから消してしまうとはちょっといただけないのです。

バックミンスター・フラーが60年代に「われわれの文明はまだきわめて未熟なんだ。未熟だから公害を出しているんだ」って言ってましたけど、全くそうですよ。よく「文明が進みすぎて自然破壊している」とかいう論調があるけど、とんでもない。われわれが19世紀に生み出した等身大のパワーを超えた力、それをフィードバック的に制御し得るだけの神経系の成熟がなかったから、非常に遅れていたから大変な破壊をしていたんです。
生体のメタファーを延長して言うと、我々の身体は内分泌系、ホルモン系の情報システムと、ボトムアップの神経系の情報システムというのが二つ相乗的に絡むことによってうまく働いているわけですよね。ところが、20世紀の前半、いや少なくとも80年代ぐらいまではホルモン系(内分泌系)だけが突出していたんじゃないか。もちろん、全てのメディアが必ずしもブロードキャスト型の一極中心型、一方通行型だけを志向していたわけではないけれど、結果的に時代としては戦争とか政治、あるいは資本主義的な経済の絡みで、アドレナリンを急激に分泌して全細胞をある一定方向へ向かせるというような、かなりホルモン系的なメディアが幅を利かせていた。そういう意味では、人口が増え、社会が大きく複雑になった割に神経系を持たない非常に愚鈍な社会でしかなかったんです。愚鈍な社会に統一的な動きをさせようと思うと、未熟な段階ではホルモン系のほうが速いんです。そこに、ようやく神経系という形で末端の情報がフィードバックされながら全体を形成していく気配ができてきた、それが20世紀のメディアなんだと思います。そうした神経系の代表的な存在がインターネットでしょう。
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| 情報デザイン・メディアデザイン | 02:20 | comments(2) | trackbacks(0) |
信じること。祈ること。少なくとも信じてみたくなること。
しかしどうしてこうも背中を押すことが次々と同時に起こるのか・・・?

どうしようもない不安がある。既にかなりはちゃめちゃなことをしているし、これからしようとしていることをやってしまうと、たくさんたくさん元に戻れなくなるんだ。ある人を傷つけるかもしれないし、少なくても無傷じゃいられないだろうし。もうだいぶ傷つけたんじゃないかってことが不安のウエイトとしてだいぶ大きいし。

あれから毎日、そうやって考えすぎて不安要素から押しつぶされそうになるたびに、誰かが背中を押してくれるような出来事が起こる。

そんなときに、いつも思い出すのです。ジョブスの演説の、特にこの部分を。そしてこれは実体験でもある。
もし私が大学であのコースひとつ寄り道していなかったら、マックには複数書体も字間調整フォントも入っていなかっただろうし、ウィンドウズはマックの単なるパクりに過ぎないので、パソコン全体で見回してもそうした機能を備えたパソコンは地上に1台として存在しなかったことになります。もし私がドロップアウト(退学)していなかったら、あのカリグラフィのクラスにはドロップイン(寄り道)していなかった。
そして、パソコンには今あるような素晴らしいフォントが搭載されていなかった。もちろん大学にいた頃の私には、まだそんな先々のことまで読んで点と点を繋げてみることなんてできませんでしたよ。だけど10年後振り返ってみると、これほどまたハッキリクッキリ見えることもないわけで、そこなんだよね。
もう一度言います。未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい、とにかく信じること。点と点が自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ずひとつに繋がっていく、そう信じることで君たちは確信を持って己の心の赴くまま生きていくことができる。結果、人と違う道を行くことになってもそれは同じ。信じることで全てのことは、間違いなく変わるんです。
そして前述の記事にあるように、どんなに不確定で希望を捨てたくなったとしても、信じることでなんとかなることを、京都の最後に聞けてよかった。
| - | 03:30 | comments(1) | trackbacks(0) |
京都造形芸術大学にて
今回の京都行きの最後に。師匠のゼミに寄ってみた。彼はいつもとても上品にアジテーションする。

戦争、貧困など、人類を滅ぼす可能性はいくつかあるんですが、僕が今一番危機を感じているのは鳥インフルエンザに端を発する感染症ですね。第一次世界大戦を集結させたのはスペイン風邪なんですが、双方とも戦えなくなるくらい人が死んだんですよ。8000万人くらいですか。その当時はアメリカに行くにもヨーロッパに行くにも「船」って世界じゃないですか、それと同じことが今の時代に起きたら、止めようがないじゃないですか。社会インフラが常に問題を大きくする。人間にとって自業自得ですね。

でも、そこであきらめるのは簡単なことじゃないですか。僕はまだまだ可能性があると思ってるんですよ。人口が増えたということは人間の可能性がますます大きくなったことだと思うんです。


要するに彼はとてもとても、とんでもなくとてつもなくポジティブな、客観的な教授ではなく実施する側の人なのです。

このなかで「人間にとって自業自得ですね。」と言ったのは僕です。それだけ最近特にヒトの可能性に悲観的になっていた。
| ログ | 19:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
パズルのピース
別にそんなつもりじゃなかったんですよ、住もうだなんてね。いや別に人間関係にトラブル抱えてるわけでもないんだけどね、キャリアもプライベートもなにもかも、突然なにかの拍子にガラガラっと変えてしまいたくなるときがくるんです。これはもはやビョーキ。会社員だったりすると100%の関わりを求められるのでそのパーセンテージを下げることなんて許されない。ので、そういうこと言い出す所とはもうずいぶんおつきあいしてないから、割といつでもどうにでもなるんだけどね。

なんてこと、行くまでぜんぜん言語化されてなかったのだけども、どうやらそういう時期が来たらしい、っていうことが京都に来てわかりましたさ。そこにはもう全部あったのでした。友達、師、仕事、空間。etc... みるみるうちにパズルのピースがはまっていく。流れを感じたときは乗った方がいいことはよくよくわかっているんだけども。

どうなることやらわかりませんけども、家賃とかよりむしろ新幹線代の方がかかるくらい行ったり来たりになるのかなあ。ううん。



とりあえず、いちいちレンタル返すのめんどくさくて、京都用自転車買ってしまいました。
| - | 23:37 | comments(0) | trackbacks(0) |