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iPadとTwitter時代に松岡正剛を読む
Twitter時代、もっと具体的にいえばライフログ時代に、改めて松岡正剛を読んでみると、以前にも増してかなり具体的に読めるようになっていることに気がつく。TwitterやiPhone、iPadが現れてようやく具体的に未来が議論されるようになって久しい。けどもこの知の巨人と呼ばれるおじさんは、2001年頃にこんなことを書いていたな、と思って本棚から引っ張り出してデジタル化してみた。

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知の編集工学 毎日文庫
http://www.amazon.co.jp/知の編集工学-朝日文庫-松岡-正剛/dp/4022613254

情報が情報を呼ぶ。情報は情報を誘導する。このことは本書がたいそう重視していることだ。「情報は孤立していない」あるいは「情報はひとりでいられない」ともいえるだろう。また「情報は行き先をもっている」というふうに考えてもよいかもしれない。単語と単語がリンクを張りあって、それだけでも連鎖してくるのだ。連想ゲームは、このようなことを私たちに示唆してくれるのだ。かくて私たちは、連想ゲームなどの遊びをとおして<編集的状態>というものがどういうものかということを知っていく。情報の連鎖の中にいかに入っていくかということ、そこにこそ編集の秘密が待っているのである。(P.36)

日本の社会は情報化されてしまったのである。けれども、ここが重要なところなのだが、「情報化」されたといって「編集化」されたとは言えない。そもそも<情報化>と<編集化>は一体であるにもかかわらず、なぜか日本では高度情報化はハードウェアの情報化であって、ソフトウェアによる編集化ではなかった。私はかなりはやくに通産省やNTTなどの高度情報化システムの現場にかかわり、そこに「情報化」はあっても「編集化」がまったく発案されていないことに、かなりの危機感をもったものだったが、残念ながら当時は誰も耳を傾けてくれようとはしなかった。
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図書館業界の黒船。図書館検索サービス「カーリル」
出版業界再編、電子書籍の時代がやってくると、今年の年始あたりから聞こえ始めた。それもアメリカでは既にAmazonの電子ブックリーダー「Kindle」によって一昨年から徐々にではあるが既に始まっており、我が国においてはiPadの発表以降、急激に具体的なヴィジョンとして津波のように大きくふくらみつつあるのは周知の通りである。2001年を境に、iPodによって音楽業界がドラスティックに再編されてしまった過去があるために、出版業界の経営層は江戸幕府の幕閣よりも戦々恐々としているらしい。(某大手出版社社員による被リストラ体験記「リストラなう」参照)

そしてスポンサーによる影響のまったくないNHKが、オールドメディア側としてはスレスレまで、これから起こるであろう急激なメディア構造の変化を伝え始め、日本経済新聞は新聞社としていち早く電子版の販売に踏み切ったが、すでに時遅しという感はぬぐいきれず、月額4,000円という価格設定は、ペーパー版との食い合いを避けるための絶妙な設定であると皮肉を言われてしまう始末である。このあたりのマスメディアへのジャーナリズム的な観点については佐々木俊尚先生に託したい。早晩、いままでのメディアが「電子化」されることはよくよく解った。が、さて僕はなにをどう整理したものかということになる。

iPadがいかなるものかについては既に述べた。(2010.01.28 iPadは何がどうイノベーティブなのかについてご説明します)iPadはたぶん「まずは」オールドメディアの全てのデジタル化を受け持つ端末なのだろう。出版業界に限っていえば、どのようなマーケティングをして、どのようなターゲットユーザーに情報が届き、どのようなビジネスにして食っていくか。ということばかり聞こえてくるが。個人的な興味としては、そもそもいままで情報を「お届け」していた方々の情報だけを、そのままデジタル化してもあまり意味がないということである。例えば極端な話、本棚の本を全部裁断機にかけて1枚単位に切断後、スキャンしてiPadにインストールし、高解像度の液晶タッチパネルで優雅にページをめくって見るだけでは芸がない。そこに記述されている文章を活字文字認識して、他の著作者へのハイパーリンクを張るなどして、文脈を繋いでいくことで始めて見える世界観があるはずなのである。そうやって情報が個人の経験や興味に基づき編集されていく。それがデジタル化の本質であり、インターネット的であるということだ。未来の学校の教科書というものは、そのようなものであるだろうと思っている。そして教育と呼ばれてきた世界そのものが、ようやく人間的なものになるのかもしれないという希望を感じている。著作権云々といつまでたっても言っていては先が見えてこないと、いままでどれほど言われてきたことであろうか(2002.12.25 NHKスペシャル 変革の世紀第三回「知は誰のものか」)。しかし、オールドメディアの住人達はまったく耳を貸そうとはしてこなかった。

変化はまだ始まったばかりである。ようやく楽しい未来が見えてきたところだ。

そんな嵐吹き荒れる最中、岐阜の吉本社長と、洛西くんがなにやら面白そうなことをしているなぁと思っていた。年始あたりから全国4300図書館の所蔵本を検索できるサービスをつくったっていう。そんな二人に話を聞いてみた。



カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト http://calil.jp/

洛西
カーリルはシリコンバレーと岐阜県の中津川が実は開発拠点なんです。中津川市で図書館をつかっている人が数百人しかいなくて、それでどうしようと思っていた。そうそう、中津川市役所ってウェブの基幹システムがwikiなんですよ。これ最も日本で進んでいる市役所のシステムなんです。今では最もPV数が多いのでは。笑。ちゃんと計ってないからわからないけれど。という斬新なことをやってきた中津川市なんですが。一方僕がやっているnota.incでは、ライフログっていって日常のさまざまな動きをネットで見せていくっていう。そういった中で「本」っていうのはコミュニケーションの起点になる。本にライフログをつかっているところはあんまり見たことがないな、っていうところで開発が始まりました。どこからでもアクセスできる書誌情報が必要だ。一応業界標準のデータベースであるOPACが時代遅れになっているから作らなければダメなんだ。誰でもクリエイターになれる時代、そういう人たちがものをつくれるようにAPIにして公開しました。基盤を整備するっていうことでネットワークがつくれるっていうこと。情報ってやっぱり都会に集まるんで、吉本くんは大学を卒業して田舎に帰ったんだけれど、それはアマゾンがあったから。笑。まぁ、そこでカーリル。話題の本ってのはけっこう実は図書館においてあるんだよね。

開発チームは平均年齢27歳。開発は主に4人。バックエンドとフロントエンドはしっかり切り離して開発している。サンノゼと中津川と京都と藤沢に分散して開発しています。分散しているからAPIが必要なんだ。っていう冗談ですけど。笑。いままでの図書館システムって、どうしても人間がコンピュータにあわせている感じがしたんですけれど。コンピュータが人間に合わせるっていう思考で開発しています。マッシュアップしまくりです。他のサイトからのプログラムを借りまくり。Google Mapsでジオコーディングしているとか、Wikipediaから著者検索をしています。どれを見ても日本発のサービスではないのが悲しいところですね。

データベース整備システムにTwitterのつぶやきに対応したということが一番大きい。つまり人力で問い合わせに対応しているということ。#toshokan でつぶやいてもらえれば、データベースが対応していなくても対応することができます。蔵書貸出状況の確認。複数のISBNの複数のシステムを掛け合わせて、最大100冊の書籍の状況を確認できる。

商用非商用は問いません。勝手にAPIをつかっていただいて結構です。唯一の使用条件は、アプリケーションを一般ユーザーが手に入れられるようにするということだけ。


吉本
そもそも中津川市に新たに図書館をつくろうっていう話があって、大反対があって。結局否決された。そんな話もあって、次世代の図書館システムってどうするの?っていう自主的な調査業務をやってたわけですよ。全国図書館総合展ていうのを見つけてきたところからスタート。一月に新しいことなんかやろうっていう話をみんなとしていたときに「図書館て面白いんじゃないの」って。図書館のシステムっていまいちだけれど、システムつくっているメーカーの数って限られているから、シームレスに統合できるんじゃないかと。とにかく全国をやってみる前に、岐阜県全体の図書情報を一瞬でもってこれるようにしてみた。

図書館のサイト。自分が住んでいる場所の図書館みてみると、貸し出し情報が見づらい。書名しか書いてないし、内容をある程度知っていて、読みたいって思ってる人しか読めない。

で、案外やってみたら面白かった。

OPACってのは図書館の検索するシステム。地理情報データベースのGISとかってあるじゃん。ああいうアルファベットの短縮形の名前にしたサービスってその時点で終わるんですよ。OPACってのは探したいものを探すものだった。それに比べ、カーリルは探したくないものでも眺められるとか、なにが読みたいかわからなくても、要するにザッピングできるようにした。更にいろんな図書館で所蔵してる本って違うじゃない。新宿とか藤沢の図書館をまたがって調べるようなことができるようにした。図書館に行くっていうことを含めたソリューション。欲しいものを探すっていうところに特化した。アマゾンみたいな部分。いままで図書館はリアルにそのばしょに来ればできますよ。っていうところをネット寄りに持って来たってことが重要。

カーリルがリリースしてから、今のところは司書官の人たちとか図書館関係者の人たちが見ているだけですよ。目指すところは町の人が普通につかっている状態。カーリルをリリースしてから「うちの町でこんなシステムがあったのか」っていう声が一番大きくて。すごい一部の人がヘビーにつかっている状態だった。

この間、中津川市の図書館でイベントをして、ustreamでも配信したけども(2010.03.16 夜の図書館ダイアローグvol.2)、そこで参加した人から「図書館の人に話しかけていいんだ、っていうことに初めて気がつきました」っていう言葉がでてきた。

初めて来た人はみんな借りられてて、ぜんぜん借りれないっていう状況になっちゃうわけですよ。予約ができるとかってすら知らない。思ってた以上にギャップがある。カーリルで実はやりたいのは「中津川市の図書館ってこうやって使えるんですよ」っていうことまでやりたい。図書館をつかったことがない人たちにどうやって使えばいいのかってうところまで行きたい。

図書館の利用者が割と少ないってことが最初に調べていたときに出ていた。図書カードと母子の健康手帳を組み合わせたものを今考えてるんだけれど。住基カードとかいろいろある中で最適なものを検討しているんだけど。それでも住基カードに比べれば図書カードの方が利用率が高いんだけれど。

電子化時代の図書館の役割。情報の拠点だという捉え方でどうなっていくか。場所という所と役割。ビジネスの観点から見たときもけっこう面白い。少なくとも著作権に繋がっていく話だと思っていて、それを考えなおすきっかけになるんじゃないかと思っている。インターネットの検索エンジンが出来たのと同じ。みんな本を借りちゃえば、本を買わなくていいでしょ。一万人いた場合に100冊買えばコスト十分の一になるでしょ。貸し借りっていう話に関しては。そこでいろいろ言っているのはもう終わっていると思っていて。出版社は図書館に所蔵されることで出版社が潰れるんじゃないか、っていうところから来る圧力もあるわけですよ。

作者の人からいうと、シェアの低い本はどんどん図書館に入れてほしいと思うわけですよ。で、twitterでどこで借りれるってどんどん宣伝する。でもそれは出版社からすれば売り上げが落ちるってことなんですよ。図書館にあって並んでて、それが目に見えて借りれるってことが、売れてない作者からすれば、規模の小さい、宣伝力のない人から見たらいいことなんですよ。結局出版てのは広告なんですよ。アップルなんかはまさにそこを可視化しようとしている。出版の未来。

紙が無くなるっていう話ではないと思っている。より貴重になってくんだと思う。なのでみんなより借りようとすると思う。特に地方って書店が機能してないんですよ。欲しい本が無いから。図書館しかないっていう状態になっている。図書館かアマゾンしかなくて。アマゾンには新しい発見がない。

書店に入って、なんとなく目に入るのってあるじゃん。それでみんな本屋にいくと思うんだけど、そこはアマゾン世代には伝わってないんじゃないか。特に田舎に行ったらそういう環境ってないから。だからいまはいろいろ議論をするきっかけをつくる段階だなぁって思っている。

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感動を生み出すソフトウェア 洛西一周
http://tamachan.jugem.jp/?eid=654

「社長」吉本龍司 インタビュー
http://tamachan.jugem.jp/?eid=380

夜の図書館ダイアローグvol.2
http://www.ustream.tv/recorded/5489020
| 情報デザイン・メディアデザイン | 22:13 | comments(0) | - |
100万人のキャンドルナイト 実行委員会活動停止のお知らせ
突然ですが、100万人のキャンドルナイト実行委員会活動停止のお知らせです。

キャンドルの灯りを灯すだけ。
同じ時間、まだ出会うことないだれかと
たくさんの人とゆるくつながっていることを感じながら、過ごす2時間。

いつもと違うひかりのもと、
あるひとはとなりにいる大切な人との関係を
あるひとは自分と社会との関係を 
ぼんやりと考えることもあったでしょう。

その一方で、キャンドルをたくさん燃やして、
目立つイベントをするんだ!と意気込んでいるひとも
多くなってきました。

キャンドルの数ではなく、
“気づき”の多い 100万人のキャンドルナイト でほしいと願い続けてきました。

一度立ち止まって、考えてみよう、と話し合いの結果、決めました。

そこで、
2010年4月1日をもって
100万人のキャンドルナイト実行委員会活動停止します。

http://www.candle-night.org/
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